はじめに
日常生活において、運動の不器用さによる困難を抱える神経発達症として発達性協調運動症(Developmental Coordination Disorder:DCD)が知られている。
- 字が乱雑
- マス目からはみ出す
- 筆圧が強すぎて、鉛筆の芯をよく折る、ノートが破れる
- 人によくぶつかる、よく転ぶ
- 自転車乗り、スポーツがうまくできない
学童期にこのようなことがある場合「発達性協調運動障害(DCD)」と診断されるケースがあります。
感覚入力、注意、認知、姿勢制御(運動発達)、協調運動、運動イメージが複雑に関連している。
DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)の発達性協調運動症(Developmental Coordination Disorder:DCD)の診断基準には「運動技能の欠如は、生活年齢にふさわしい日常生活活動を著明および持続的に妨げており、学業または学校での生産性、就労前および就労後の活動、余暇、および遊びに影響を与えている」という基準が設けられており、DCDによる学習関連活動への影響について言及されている。
DCD児は自己概念が低く友人関係も苦手になりやすいこと、学齢期の運動機能の問題は学校でのQOLと関係していたこと等がわかっている。
4疾患は、微細な脳器質疾患と考えられ、感覚異常、姿勢と運動の未熟さなどで多くの部分で共通した特徴を有しています。4疾患は症状が重複しているため、完全に分離できないと言われています。実際にADHDの約30~50%にDCDが併存し、SLDでは50%、ASDについては40%に重なりがあることが言われています。
DCDと学習との関係
DCDは限局性学習症(Specific Learning Disorder:SLD)を高頻度に併存することが知られており、協調運動と学習には密接な関係があるといわれています。決して子どもの努力不足や怠けではない。子どもは学習する力があるにも関わらず、理解や配慮不足により学習の困難さが生じることを少しでも避けていきたいと思います。
学習にて困ること
音読、板書、書字、計算、定規やコンパス、消しゴムの操作、楽器の演奏、裁縫や調理、体育などの協調運動が関連する多くの活動を求められています。そのため、体育のような運動面に限らず学校生活での学習に関する困りごとがみられることがあります。
協調運動と学習
・運動の成熟度と学業成績の間には有意な相関関係がある。
・DCDのある子どもは読み書きや算数の成績が低いことがある。
・協調運動の中でも微細運動とバランス能力が学習と密接に関連する。
学校や家庭でできること
・学校生活で困っていることを把握する(学習での理解や参加の問題)
・学習場面で工夫を施すことが重要
(例)授業中の板書の量を減らす、書くスペースを広げる、文字や作品などの丁寧さを求めないなど
・協調運動の弱さを補える道具を積極的に使う
DCDの情緒・学業への影響
・身体運動は情緒的適応を高め、学校生活での仲間関係の維持に重要な役割を果たしている
・不器用さは、友人関係の問題や学業成績だけでなく、内在化および外在化の両方の行動問題を悪化させる可能性がある。
不器用な子どもへの心理面での支援「安心・安全な場である居場所」の提供がとても重要です。不器用な子どもは、学齢期では失敗体験を多く積むことになるかもしれないです。運動は好きだけれども、失敗をするのが嫌なので、やらないということが多いように思います。
子どものために用意しておきたい環境
「安心・安全な場である居場所」自分がここにいていいという居場所を作ることが大切
・失敗しても守られている
・少しずつでも成功体験が与えられる
・何度でも挑戦できる
・信頼できる仲間がいる


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